大腸カメラ(大腸内視鏡検査)とは
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、肛門から内視鏡を挿入していき、大腸(結腸、直腸)や小腸の一部を観察する検査で、腸内の病変(炎症、潰瘍、ポリープ等)の有無を調べることができます。また病変が疑われる組織を内視鏡で一部採取して詳細を顕微鏡で調べる生検や、ポリープを発見した場合には日帰りでの内視鏡切除術も行っていきます。検査時間に関しては、観察のみであれば20分程度で終了します(個人差はあります)。
当院での内視鏡検査は消化器内視鏡専門医・指導医である院長が担当します。豊富な経験と高度な技術を有しておりますので、限りなく苦痛を軽減した安全な検査を行うことができ、かつ病気の早期診断、確実な内視鏡治療を行うことができます。
当院の内視鏡システム
当院の内視鏡システムは、大学病院等で使用されている最上位機種の富士フィルム社製LASAREO700を使用しています。波長の異なる2種類のレーザー光による観察が可能で、レーザー光の発行比率を変えることで粘膜表面の微細な血管や構造が強調される「BLI機能」、わずかな色の違いを強調する「LCI機能」の2種類の画像強調観察を行うことができます。このような画像強調観察を用いて、大腸がんや大腸ポリープなどの病気の早期発見・早期診断をより確実にしてくれます。
内視鏡スコープは拡大機能を有する最上位機種のEC-L600ZP7を使用しています。拡大観察が可能で、病変のより詳細な観察と診断を行うことができます。さらに、スコープの硬さを任意に調整することができる「硬度調整機能」、挿入部先端が軟らかく曲がりやすくなっているが、曲がった後はまっすぐに戻りやすくする「カーブトラッキング技術」を搭載しており、挿入時間の短時間化、検査時の苦痛軽減をすることができます。
当院にて検査時の苦痛が少ない理由
大腸は曲がりくねった管腔で、屈曲部を内視鏡が通過するときに内視鏡を押し込んで腸を伸ばしながら挿入するpush法を行うと、大腸に付着している腸間膜が過伸展し痛みが出現します。経験の浅い内視鏡医が検査を行うと、安易なpush法による挿入となることが多く、内視鏡検査で苦痛を生じる原因になっています。消化器内視鏡専門医・指導医である当クリニックの院長は豊富な経験と高度な技術を有しているため、大腸を引き戻しながら挿入する軸保持短縮法による挿入を行っており、苦痛の少ない検査を行うことができます。
また、内視鏡検査では、腸を拡張させなければ観察を行うことができませんが、この際に腸に長く滞留する空気を送り込むことで腹痛やお腹のハリといった症状を招く原因になっています。当クリニックでは、内視鏡用炭酸ガス送気装置を導入しており、空気ではなく炭酸ガスを送り込んでいます。炭酸ガスは早期に消化管内で吸収されるため、消化管の膨満が早く解消され、苦痛の軽減をもたらしてくれます。
さらに、希望がある場合には、苦痛をできるだけ緩和するべく、鎮静剤を使用したセデーションを行うことも可能です。セデーションを行うと検査中はボーッとした状態、あるいは寝ている状態で検査を受けることになり、苦痛が軽減されます。
- 以下のような症状がある方は大腸カメラによる検査をお勧めします
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- 便潜血反応で「陽性」との診断を受けた
- 血便がみられている
- 便秘や下痢などの便通異常の症状がある
- 腹痛、腹部膨満感がある
- 貧血を指摘されている
- よく顔色が悪いと言われる
- 急激な体重減少があった
- 大腸ポリープや大腸がんを治療した経験がある
- 顔色が悪いと言われる
- 大腸カメラで発見されやすい主な疾患
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- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 大腸憩
大腸カメラを受けるにあたって
大腸カメラによる検査をを希望される場合、まずは外来を受診して頂き、大腸カメラ検査の適応を確認し、大腸カメラ検査を受けるにあたって問題がないことを確認してから日時の予約をして頂きます。検査が決定した時点で感染症検査(血液検査)も行います。
検査が決定した時点で感染症検査(血液検査)も行います。なお糖尿病患者様で血糖値をコントロールするお薬(経口血糖降下薬やインスリン)を使用されている方は事前にお申し出ください。このほか、医師もしくは当クリニックスタッフから、大腸カメラによる検査を受けるにあたっての注意点の説明もあります。
具体的には、検査前日の夕食(消化しやすい食品にし、海藻類、きのこ類、果実類は避ける)は21時までとし、検査まで絶食するといったことや、検査前に服用する下剤の説明、常用薬の服用の仕方について、検査後に気をつけることなどについての説明があります。検査前日の食事については、大腸カメラ前日用の食事を購入することも可能です。
当日の検査の流れ
検査当日の大腸カメラの大まかな流れは以下の通りになります。検査を受けるにあたって、まずは腸内をきれいにする必要があるので検査当日の朝からコップ一杯の下剤(腸管洗浄液)を飲むのですが、その際は10分以上時間をかけるようにします。その後は、排便を繰り返すようになりますが、便が透明になったら検査の開始となります。
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1.鎮静剤(セデーション)の投与(希望時)
検査衣に着替えて、希望がある場合は苦痛を軽減する目的で鎮静剤を投与します。セデーションを行うと、検査中はウトウトした状態、あるいは寝ている状態での検査となります。
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2.検査開始
検査台で横になったら内視鏡を肛門から挿入していきます(検査の開始)。
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3.腸管内部を観察
内視鏡によって撮影された映像はモニタを通して医師が確認、結腸や直腸などの内腔に病変がないかを調べます。疑わしい組織があった場合は内視鏡で一部を採取し、顕微鏡で詳細を調べていきます(生検)。切除可能なポリープや癌を見つけたらその場で切除します。
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4.検査終了
大腸の内腔を一通り観察すれば検査は終了です。検査時間は観察のみなら15~30分程度です。
検査後の注意点に関して
検査を終えた当日は、激しい運動は避け、できるだけ静かに過ごすようにしてください。飲食については、とくに問題がなければ1時間後から可能です。また気になる症状があるという場合は、速やかに医師へご相談ください。
ポリープを切除した方は、検査後3日間はアルコールや香辛料などの刺激物、激しい運動、入浴(シャワーは可)を控えてください。
鎮静剤を使用した方は、検査後30分程度ベッド上で経過を見た後に帰宅となりますが、事故や転倒のリスクがあるため、検査当日は、ご自身による、車、バイク、自転車の運転は控えてください。